公演の詳細データ、舞台写真まとめなどは
160130-0221 Gounod:Faust Mephistopheles @ Aalto-Musiktheater, Essen
を、
前半の流れは
http://wp.me/p4Z7sW-1Xp
をご参照下さい。
*場面の解説は《音楽之友社編 スタンダード・オペラ鑑賞ブック「5」フランス&ロシア・オペラ》を参考にしました。
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後半。舞台には一面の雪が積もり、ひらひらと紙吹雪が舞っておりました。
この構図は、共同制作のベルリン・ドイツ・オペラの舞台写真を見た時から「きれい〜〜!」と思ってたんですが、実際に見るとすっごく絵になります。2月7日はこの舞台が現れただけで、客席から拍手が(笑)
後半は、この降りしきる雪一面の舞台でメフィストが引っ掻き回し…もとい、大活躍します。
《マルガリータの嘆きとジーベル登場》
時が経ち、寒空の下、ギンガムチェックのワンピースの上にカーディガンを羽織っただけの薄着で大きなお腹を抱えるマルガリータ。彼女の住まいのキャンピングカーには”NUTTE”(ドイツ語で「娼婦」の意味)の落書きが。泣きながらその文字を消し、ファウストに捨てられ、友人たちからも嘲笑された苦しみを歌います。
続いてジーベル登場。彼も”NUTTE”の落書きに気が付きますが、マルガリータにかわらぬ愛を歌います。
(ウサギの着包みは雪の舞台になると、尚映えて可愛かったなあ)
《兵士の合唱、そしてヴァランタンの帰還》
兵士たちは例の怪しいお面を被った面々。でも明らかに戦争で心が傷ついた感を醸しだしていたんですが、この合唱とオケの勇ましいこと!!
舞台上の生気のなさとのギャップがなんとも言えず・・でもやっぱり、私はこのっくらいガシガシとオケを鳴らしてくれると嬉しい。
その中に、更に心が傷ついた感のヴァランタンも。フラフラになりながら、ジーベルと出会い、マルガリータの消息を訪ねます。答えに窮するジーベル。曖昧なまま、舞台の奥へ二人は引っ込んで行きます。
《ここで!きた〜〜〜〜〜〜〜っ!【金の子牛】♪(v^_^)v》
「金の子牛」のあの旋律に乗って、ゴーカートの上に使い魔の女子たち(制服の上に毛皮のジャケット着てる)、廃人同様のファウストが、所狭しなスタイルで乗っかり、その上に君臨?するメフィスト!
(ピンクスーツの上にファーのロングコート!寒い国の人だからこれが似合うのよ〜〜〜〜Σ(゚∀゚ノ)ノキャー)
この構図、あらゆる意味で私のヘンタイツボにドンピシャで(^^;;;;;;
ええもう、あらぬ妄想を・・・(えすのくせにふまれてる…違)
女子達の無機質な表情もすっごくツボ。
自分を踏んでる女子の太ももには、札束を挟んだガーターリング。歌が始まるとさりげなく彼女の足を触りつつ(いやん😍)
札束を抜き取り、女子たちは散らばり。ファウストもフラフラと離れた場所に座り込みます。
メフィストがゴーカートから降りて歌いながら札束をばらまくと、お札を拾おうと女子たちはメフィストに群がり、その女子たちを抱きかかえるメフィスト(エスカミーリョが重なる。。。)
ファウスト一人が、離れた場所で正体を失ったかのように、頭を抱えて突っ伏しています。
歌がフランス流でないのは百も承知、オケはガンガンに鳴る中、ひときわ通る声で場を持ってった感じで、札束ばら撒く姿もサマになってた。
ヴァラリン「あああ、今の彼のメフィストが聴けてほんとに良かったあ・・(かっこいいよw)」
と、もう、このアリアの必然性を初めて感じた喜びに打ち震えつつ、めろめろめろめろめろめろめろめろ×∞しておりました。
(2月4日には客席にも戸惑いが感じられたのか、ここで拍手が入らなかったんですけど7日には入りました。総じて7日のお客さんの方がテンション高めだったかも)
《更に大胆な改編は続くよ》
メフィストが金の子牛を歌い終えると、ファウストに声をかけます。
さて、どの部分をここに持ってきたと思いますか?答えは第5幕第3場の「ヴァルプルギスの夜」が消え失せ、ブロッケンの谷の風景の場面の短いメフィストとファウストのやり取り。
ヴァルプルギスの夜の場面のあと、ファウストがマルガリータの幻影を見て「彼女に会いたい!」と叫び、オケが雷鳴のように轟くところです。
ここの音楽って、こんなに劇的だったっけ?と「金の子牛」から続く私の中の興奮は冷めやらないまま、まだまだ続くメフィストの揺さぶり・・
《セレナーデ「眠ったふりをせずに」》
トン・トン・トン、と、メフィストがステッキ
(こんな突飛なカッコしてるけど、メフィストお約束のステッキはちゃんと持ってる)
で床を3回叩くと、動きが止まっていた女子達がキャッキャと笑いながら廃人ファウストに群がります。
セレナーデの前のファウストとのやり取り「だからお前、この家に入りたいなら俺の力がいるんだぜ・・」と歌う、その皮肉っぽさったら!
セレナーデを歌い始めると、女子の一人を自分の前に立たせ・・ステッキを横にして彼女の腰あたりにぎゅっとおしつけ、引き寄せて「逃げないでね😉w」的な笑みを浮かべつつ
(くーーーーーーーーーーっ!Sの本領発揮?!)
おもむろに服を脱がせ始め・・(ぎゃ〜〜〜〜〜!そっその手つきが・・(違))
あら不思議!彼女のお腹が大きくなり・・
(ま、これって、結婚するまでは、そーいうことをしちゃダメよ、っていう啓蒙アリアだもんねw)
彼女も大きなお腹を抱えて、ふざけながらメフィストに二人羽織みたいな抱きかかえ方をされて、一緒にキャンピングカーに近づきます。
《ヴァランタン登場、そして死・・》
メフィストがステッキでキャンピングカーを叩くと、中からヴァランタンが怒り狂って登場。お腹の大きな女子が彼をからかう仕草をすると、ヴァランタンは彼女のお腹の詰め物
(メフィストが彼女の脱がせた服をお腹に詰めてただけの、まやかし魔法だったの^^;)
を抜いて、地面に叩きつけます。
「俺の大事な妹をたぶらかしたのはどっちだ?!」と、責めるヴァランタン。
そんなヴァランタンをからかうかのように、メフィストが戦いをけしかけ、ファウストとヴァランタンの決闘。女子達もヴァランタンを嘲笑しながらナイフでイタズラ。
(この辺、ヴァランタンがほんと可哀想に思えた。。。)
最後はメフィストがファウストの手をを無理やりヴァランタンに向けて、ヴァランタンは斃れます。
(スパラフチレが重なる。。。)
わらわらと街の人達(=お面の人たちやマルトおばさん)が現れるさなか、マルガリータも登場。兄に声をかけますが、罵倒され、彼女が絶望に打ちひしがれるなか、ヴァランタンは命を落とします。
《教会の場面》
舞台に一人残り、しゃくりあげながら祈るマルガリータ。そこに響き渡る、姿なきメフィストの無慈悲な声。
この「声」客席から響くんですが、2Fバルコニー席で聴いていた時に、もうひとつ上の階(アールト劇場の客席は3階まで)から歌ってるのかと思っていて、
(私だけじゃなく、近くにいたほとんどすべてのお客さんは皆、上の階の左側を振り返って見ていた)
あとで彼に尋ねたら
「僕、一階の後ろで歌ってたんだヨ」と言われて、えええええ〜!?とびっくり。
で、平土間から見た時に確認したら、確かに1F左側の後ろから歌ってました。
うまく声が反響して、上から下に降りて聞こえるような感じ・・というか、客席全体が彼の声に包み込まれるような感じがしたんでしょうけど、効果絶大。
ここの対決の場面は予習の段階で割と気に入ってたんですが、こんな演出(1*)されてしまうと、一体どこまでこのプロダクション、私のヘンタイツボを突いてくるの〜〜😍ともう、こっちが正体無くしそう^^;
このメフィストVSマルガリータの対決のさなかに、マルガリータは産気づき、痛みの声を上げます。この声がまた、場面にビタっとハマっていて、彼女の苦しみがなお一層強く心に突き刺さりました。
メフィストの「お前は地獄に落ちるのだ!」の一声のあと、穏やかなオルガンの伴奏が聞こえる中で彼女は我が子を産み落としますが、血まみれの我が子に触ることもせず、赤子は雪の上に晒されたまま、回転盤の上に乗って見えなくなります。
《ヴァルプルギスの夜は・・》
出産後、呆然としていたマルガリータの元に、白いワンピースでおめかしした女の子たちが近寄ってきて、彼女にもドレスを着せます。
美しくも力強い?!(ホントは優美〜〜なはずなんだけど、とにかくエッセンのオケ、アクセントと馬力がすごいの・笑)音楽に乗って現れたのは、ハッピー・ウェディングの場面!
そう、ヴァルプルギスの夜の場面は、メフィストがファウストとマルガリータの為にセッティングした結婚式💓
(実は教会の場面で、客席から歌ってた時にすでに着替えていたんだけど!)
ここでのメフィストは、シルクハット+黒ジャケを白いランニングの上に羽織り+黒のスラックス。ファウストが待つひな壇に、メフィスト自らマルガリータをエスコートします。
シャンパン持ってグラスに注いだりとか、いや〜〜〜〜〜〜〜〜ん!かっこいいわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜😍
私の拙い文章力では「そんなの、ありえな〜〜〜〜い!」って感じがするかもしれませんが、この旋律、実は結婚式にぴったんこなんですよ!!今まで見たどの映像のヴァルプルギスの夜の場面よりもキュートで洗練されていて、メフィストが見せてくれるひとときの甘い夢だとわかっていても、とろけました。(めっメフィストの表情が・・すっごくいいのよ😍)
《マルガリータの投獄、そしてフィナーレ》
ヴァルプルギスの夜の音楽の終焉とともに、結婚式の場面は忽然と消え・・一人残ったマルガリータ。音楽は一転、悲痛な前奏曲が流れ、マルガリータは裁きを受け(裁くのはお面の人々の一部)つき飛ばされ、髪を切られ、捉えられます。
回転盤の上にはちゃんと牢獄っぽく、柵が備え付けられて。
メフィストとファウスト登場。メフィストは柵を乗り越えてマルガリータの牢獄の見張りをしている警察官二人を(これがまた、ビミョーに秘密警察っぽい雰囲気で、このあたりはドイツらしいわあ・・と思いました)ピストルで射殺。
「今のうちにいけヨ」とファウストをマルガリータの元へ遣ります。
既に狂気の中にいるマルガリータ。この場面、双眼鏡で覗いたらマルガリータ役のJessica Muirheadの目つきが完全にイッちゃってて、ゾクッとしました。
一緒に逃げようとマルガリータに声をかけても、既にその声は彼女には届かず・・3人で押し問答しているうちに裁きが降り・・メフィストとファウストは退散。(ここんとこ、実は二人が最後どうなったのかよくわからなかったのよね^^;)
マルガリータは医師によってベットに括りつけられ、最後は注射による安楽死。この遺体を、冒頭でファウストは引きずっていたのですね。
・・・十字架も出てこなければ、天使も出てこない、最後の救済もなかった・・というわけ。
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こんな感じの現代的な「ファウスト」でしたけど、何しろ一瞬たりとも退屈させない、「次、どうなるんだろ?!」ってドキドキしながら、飽きさせずに(決して本流ではないにしろ)「ファウスト」の持つ新たな一面を見せてくれたこと、
そして私がなかなか馴染めなかった宗教色がこれでもかというくらい、排除されていたこと、
また、2幕で《金の子牛〜メフィストが十字架を怖がる〜剣のコラール》をカットし、4幕に《金の子牛〜第5幕第3場のブロッケン山の場面〜メフィストのセレナーデ》と組み替えたことにより、ドラマ的には収まりが良くなって説得力が増す気がしましたし、メフィストの存在感が際立った気がします。
(私にとっては苦手場面・メフィストが十字架を怖がるとこがなくなったこともあって、あらゆる意味で美味しいとこ取りでした💓)
全体の流れのなが〜〜い説明はこれでおしまい。余韻に浸りすぎて(笑)1ヶ月経っちゃったので、メモがあるとはいえ、細部はちょっと間違えて記憶しているとこもあるかもしれません。でも、これ↓は伝わりましたわよね?!(笑)
エッセンのファウスト。メフィストのヴィノグラードフは私の変態魂に火をつけるどストライクの演出と解釈で(詳しくは帰国後😉)ヤバい感ハンパない。他の歌手も熱演して、苦手なこの作品がやっと克服できたのが嬉しい😍
— ヴァランシエンヌ (@valen_vino) February 5, 2016
さ、次は熱い熱いヴィノグラードフ・メフィスト語りor全体の感想・・
(まだ書くの〜?って、だって、前回と今回のは、流れの説明ですもの!!!私の主観、入ってないでしょ?!←嘘だあ^^;)
*こんな演出(1*)
ヴァラリンが12年前、初めてヴィノグラードフに出会った時、客席(バルコニー)から彼の声が聴こえて一発でココロを持って行かれたので、こういうシチュでは否応なくその時の思い出が蘇ります…
(ということで、この場面では出会いのザラストロが重なってしまった、というわけ)
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2016年2月4日&7日 ファウスト@エッセン・アールト劇場
演出:フィリップ・シュテルツル
指揮:セバスチャン・ロウランド
ファウスト:アドデッラ・ラスリ
メフィストフェレス:アレクサンドル・ヴィノグラードフ
ヴァランタン:マルティン・コーネット
マルガリータ:ジェシカ・ムイヘッド
ジーベル:カリン・ストロボス
マルト:アルムス・ヘルブスト
ハイライト映像↓も合わせてお楽しみ下さい💓
https://t.co/htFGDtO5MJ
エッセンのファウストのクリップ。彼様メフィスト、ピンク地にキラッキラのスパンコールの怪しいお衣装も良く似合ってた。後半の雪の場面は絵的に美しく、このバックでメフィストが大活躍するのが私のヘンタイどストライクその1。— ヴァランシエンヌ (@valen_vino) February 8, 2016