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151017 ブルガリア・ソフィア国立歌劇場来日公演イーゴリ公@愛知県立芸術劇場大ホール

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初めての愛知芸術文化センター大ホールでの鑑賞。5階席(一番上の階)だったせいか、生音を聴いた実感が得られず(コンサートホールなのにCD聴いているような違和感)音響が不自然というか、妙に人工的な感じがしました。特にオケの音は「本当にそこで弾いてる?」と聞き返したいくらいの違和感。PA使うにしても、もう少しやりようがあるのでは??

そんなわけで、席が遠かったせいもあるのでしょうが(近くの席の方が楽しめるタチ)
色々とモンクの多い感想です。。。ごめんなさい。
ソフィア歌劇場、3年前にカヴァレリア/ジャンニ・スキッキを観た時は、超一流ではないにしろ、一定水準は保っていて演奏の質に不満はなかったんですが、今回はいろいろとストレスを感じた公演でした。

全体的に起伏の少ない演奏で(前述したようにオケも合唱も人数が少ないのか、薄く感じましたし)この作品って、以外と繰り返しが多くて通俗的な音楽が続くのね・・と、今までに感じたことのないことまで感じてしまいました;;いかに難しいかを実感したというか。。。

まず、序曲から?????
全然揃ってないし、もしかしたらオケの人数が少ないのかしら・・?と思うくらい、音が薄くて;;
合唱も人数が少ないのかしら?分厚い音を期待していただけに、かなり、残念な感じが・・

舞台美術そのものは、ゴッホの絵みたいで麦の穂も美しくて、衣装もいい感じだったんですけど、肝心のイーゴリ公、いつ歌い出した?!のかすら、よくわからない・・;

ガリツキーの、さらってきた娘さんに対するイタズラはしつこすぎ。ああいうのは「ああ、ああいう時代なら仕方ないねえ」と、観客の意識の片隅にサラッと流れる程度に留めておくべきだと思います。おまけに歌は雑だし・・デリカシーのない役ではあるけど、そういう役だからこそ、きっちり歌ってほしい。
ロシアオペラと切っても切り離せない、酔っ払いというか、ならず者の系統のあの歌、面白くて好きなんですが、きっちり歌えばあの民謡調の旋律ですもの、自ずと面白さが伝わってくるはずです。

イーゴリ公の嫁・ヤロスラーヴナは、前半では一人抜きん出た感があって「おお!」と思ったんですが(イーゴリ公との別れの場面の「ぷらしゃーい!」の高音のきれいなこと!!!)
高音のピアニシモが続く後半は急に失速してしまい・・残念でした;;この役は地味ですけど、やっぱり難役なのね・・との思いを新たにしました。

コンチャク汗は、姿もいいんだけど、声がこの役には高過ぎて;;イーゴリ公よりもずしっと低い響きで、器の大きさをアピールして欲しかったんですが。。。

ウラジーミルはちょっと小さめの声だけど、ロシアの貴公子向きの役どころには良く合いそうなきれいな声。レンスキーとか合うんじゃないかな。
コンチャコーブナとの相性も良かったし、この若カップルはなかなか好感度が高かったです。

そしてこの演出の最大のキモ・最後にポーロヴェツ人の踊りを持ってきたのには違和感アリアリ。
(終演後、ロビーでも「あれじゃわけがわからんw」とぼやいていたおじさま達もいましたから、我が家だけの感想ではないと思いたい)

その直前にイーゴリ公が戻ってきてはっきりと「次に汗(ハーン)と戦う時には必ず打ち勝つ」とかいうことをはっきりと宣言しているんだから、あれではつじつまが合いませんし。。。

ポーロヴェツ人の踊りは、確かにこの作品の中で飛び抜けて人気のある場面ですけど、あくまでも作品の中の一部であり、ここに焦点を当てる必然性はないような気がします。
あのダンスが婚礼に相応しいとも思えないし、婚礼の席のはずなのに、主賓の二人はどっかに行っちゃって、最後にちょろっと顔見せ・・で終わりだし。
(親達が座っていたソファーに布をかけただけの椅子もシャビーでなんだかな・・な感じだったな・・)

もし、最後にイーゴリ公と汗(ハーン)が和解するという流れを作るとすれば、もっと、イーゴリ公の心の葛藤をきっちり描くべきだし、歌の踏み込みも甘い。元々が未完の作品なので、そのあたりの描き方が弱いのがこの作品の欠点でもあれば、そこが曖昧模糊としていて逆に魅力でもあるのですから。

いっそ、メトのライブビューイングの時のように映像を使う等して、意図的に補完でもしなければわからないよ・・と思いました。あの手の手法も好きじゃないけど、ここまで解釈が変わってしまうとなると、という意味も兼ねて必要かもな・・と思った次第です。
イーゴリ公の内面に焦点を当てた演出・・ということで楽しみにしていたんですけど、残念ながら私にはイーゴリ公の苦しみは伝わってきませんでした。

でも、やっぱり字幕を確認しながら見られる・・というのは、日本での上演の大きなメリットですから、見られて良かったと思っています。
機会があればまた実演に接したいですし、これからも付き合って行きたい作品の一つです。

前から言ってるんですけど、新国でこれを是非取り上げて頂きたい。新国には自前の優秀な合唱団とバレエ団が備わっているのですから、適切な歌手を招聘して、本気で作り込んでもらえれば、きっといいものができると思います。

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