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240625 蝶々夫人@METライブビューイング

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(画像・ビデオクリップは松竹METライブビューング公式サイトより)

2019年のカルメン以来、5年ぶりのライブビューイング。
今回は京都に引っ越してきて以来の悲願だった、長年の盟友である娑羅さんと初めてご一緒いたしました✨

METの蝶々さんの演出はWOWOWとかコロナ禍での配信でよく見ていた、アンソニー・ミンゲラのもの。
プレミエは2006年とのことですから、もはや古典と言っても過言ではないかも。
今回映画館で集中して視聴して、改めてよくできたプロダクションだと再認識しました。

まあ、所作とか着物の着方やら、コントに使うんかい!的なカツラとか、色々言いたいことはありますし、
かなーり、チャイナパワー入っているのが、日本人としては色々な意味で寂しい気持ちもありますが、
設定そのものを読み替えているわけではないし、映像で見られるプロダクションとしては、現状ではこれに勝るものはないかな。。。と思います。

途中のインタビューで衣装についての言及がありましたが(これも中国人デザイナーだったのね。。。)
中国の思想が反映されているんですねえ。


結婚式やおめでたい時には牡丹を使うとか、
(蝶々さんに求婚する)ヤマドリは裕福さを表すために、幾何学模様にした・・・とかでしたが、
ヤマドリの彼は、まるで土俵入りのような所作で^^;自分を尊大に見せようという気合いが感じられ、扇子の使い方も絶妙だったし、声もなかなか良く、いいスパイスになっていました。

ヤマドリってバスなんだ!!って思いましたよ。(←蝶々さんに出てくるバスはボンゾだけかと思っていたのにw)

光の使い方も秀逸。特に蝶々さんとピンカートンのラブデュエットのところの提灯とか
ピンカートンの船が港に着いたと、彼を待つ「ハミング・コーラス」の場面。。。希望を持って前向きに待つ。。。
という場面なのに、一貫して血を想起させる、どす黒い赤い照明の使い方が、今後を暗示しているかのようで、刺さりました。

さて現在飛ぶ鳥を落とす勢いのスターソプラノである、アスミック・グリゴリアンのタイトル・ロールですが、
1幕では可憐さ、イノセントさよりも
「ピンカートンを利用して一旗上げてやるわ!」的な腹黒さと
野心が垣間見えるような「聡さ」が勝ってる感があって
「歌は抜群に上手いけど、役に合ってるのかどうかわからん。。。」
と感じていたんですが
(1幕最後のラブデュエットも、官能的な旋律の中に計算が見え隠れしているようにも感じた。。。いや、十分素晴らしかったんですが)

2幕以降、特にシャープレスがピンカートンからの手紙=絶縁状を持ってきて、読み聞かせようとすれども、蝶々さんに上手くはぐらかされて、、、
実は彼との間に、子供がいるんです・・・あたりからの⏬音楽付きドラマとしてのな作り込み方が秀逸で、何度も(多分娑羅さんと同じタイミングで)落涙してしまいました。

正直なところ、彼女の性急とも思えるレパートリーの拡大(トゥーランドットとかマクベス夫人とかの、超ヘビー級ソプラノ役まで広げているのには、正直たまげました^^;)
には、一体どこを目指しているのか?!私にはいまいちわかりません💧

METデビューとなった今回の演奏はさておき、蝶々さんはかなりあちらこちらで歌っているようでして。
そういえばコロナ禍の頃だったか、スウェーデンだったかの蝶々さんの配信映像を見たことがありましたっけ。

個人的には、同じ年頃のヒロインである、サロメやゼンタ(さまよえるオランダ人)のような、
目に見えてエキセントリックな役柄の方が合っていると思いますが、
聡い(さとい)ながらも、適切なドラマティックな役作りの蝶々さんには、素直に引き込まれました。

彼女はバレエの要素もあると漏れ伝わっていますが、冒頭の蝶々さんに扮した(多分)チャイナ系ダンサーが踊るところは、いっそ彼女に踊ってほしいぃぃぃぃぃ〜〜っと、切に思いました。。。

どうしようもないクズ男のピンカートン、テノールとしては貴重な?!長身で見た目も悪くないジョナサン・テテルマンは、少し被った声ながらも立派な歌唱(クズ野郎だけどね!)で、これから良くなる可能性大だなあと思ってたら、
既にグラモフォンからCDも出しているんですね(ごめんね知らなかったよ)

https://www.jonathantetelman.com/media

長身のグリゴリアンも彼となら釣り合いが取れて、絵的にもとてもハマっていました。

もう一人びっくりしたのが、スズキのエリザベス・ドゥショング
はっきり言って所作はかなり雑だったんですが^^;
ドスの効いた低音で声に艶もあり、幕が進むにつれドラマティックさがヒートアップして⤴️
シャープレス、ピンカートン、スズキの三重唱があんなに胸に迫ってきたのは初めてでした。

ぜひ近いうちに「トロヴァトーレ」のアズチェーナを聴いてみたいです。。。と思っていたら、
今年の10月には、シュトゥットガルトで歌うようです_φ(・_・

さらに驚いたことに、今年5月21日の読売交響楽団の「マーラー3番」の独唱としても来日していたらしく。

https://yomikyo.or.jp/concert/2023/12/638-1.php#concert

(ということは、蝶々さんのアスミックも5月中旬に来日してたので、もしかしたら来日時期が被っていたのかも?!)

ピンカートンを諭す「アメリカ人の良心」とも言える領事シャープレスのルーカス・ミーチャムも、いつかなんだったかで聴いた記憶では「あまり上手くないわねw」と思って、娑羅さんにもそんな先入観を植え付けさせてしまいましたが^^;
なかなかどうして、この役では存在感も強く、長身で衣装もよく似合ってましたし、説教くささもプンプン漂わせていて、良かった◎

この作品、どうしても日本人ならば(特に1幕は)あらゆるところにツッコミを入れたくなる(どの演出を見ても、そこは否めない)と思います。

日本語字幕付きで見ていると尚更。。。なんで猿田彦やらイザナミやら・・・に果敢に取り組んだのが、バス歌手の故・岡村喬生氏。
詳細は⏬ これはいつか、ゆっくりとトピックを作りたいな。

https://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY201003100275.html

しかし、単体でも取り上げられることが多い「ある晴れた日に」も、劇の流れの中で聴くと「こういうものか!」と、ストンと落ちてきますし(隣のおじさんは拍手してました)
ドラマはむしろ、このあたりからグイグイ始まる感じなんですよね。

自宅でマイペースで映像を見てると、つい1幕冒頭で文句を言って、はいそれきり〜〜になってしまいますが、後半をちゃんと聴かないと(観ないと)もったいないと思いました。

今回は前述したように、特にシャープレスと蝶々さんの絡みの場面からは息もつかせない感じで、音楽とドラマが一体化してて、この作品が音楽的にプッチーニの最高峰と言われる所以がわかったような気がします。
(ボエームにここまでの劇的さはないしね〜〜トスカもここまで音楽が完成されてないかなあとか。。。)

何はともあれ、3時間以上の長丁場でしたが全く弛緩することなく、集中力を保ったまま鑑賞できたことが何よりも嬉しかったです。

お付き合い頂いた娑羅さんにも感謝!!!
来年はぜひ「セビリアの理髪師」でご一緒しましょうね^〜^

https://www.shochiku.co.jp/met/news/5949/


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Madama Butterfly – Puccini
Live transmission from the MET : May 11th, 2024

Conductor :Xian Zhang
Production :Anthony Minghella
Cast :
Asmik Grigorian(Cio-Cio-San),
Jonathan Tetelman(Pinkerton),
Elizabeth DeShong(Suzuki),
Lucas Meachem(Sharpless)

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