平日にしてはそこそこの客入り。最終日効果か、ネトちゃん効果か(笑)
ライブビューイングに行ったのはおよそ一年ぶり、去年の今頃やったイーゴリ公以来です。最近は頭打ち感もあり、余程のことがないと足が向かないんですが、やっぱりロシアものの時は字幕の確認も兼ねて行きたくなりますね^^;
今回は複数のフォロワーさん達が、こぞって面白かったと仰ってたので、背中を押された感じでした。どうもありがとうございます。
あ、ちなみに私
というわけで、演出家の意図を汲み取ることはできませんでしたけど(笑)
でも、自分なりに両方ともすっごく楽しめました(^^)
【イオランタ】
筋と音楽を軽くなぞっている程度。ハッピーエンドだし、途中かなりご都合主義的で、物語にあまり深さがないかな〜〜
音楽もきれい過ぎて、いまいちのめり込めない…と、少し手を出したままで止まってました。
完全にこの作品を甘く見ていた…と猛反省;;チャイコフスキー先生ごめんなさい^^;
字幕付きで歌詞をきちんと追って観て聴くと、
イオランタの侍女マルタと門番のベルトランが夫婦だということもわかりましたし(笑)
なにより、胸に迫って来る所がいーっぱい!
特に怪しげな医師エブン=ハキアの「肉体と精神を切り離して考えることはできない」「見るという意思が治療には不可欠」云々の含蓄深い台詞と
ヴォデモンとイオランタとの二重唱での、二人の対照的な自然への描写。生きとし生けるものたちへの畏敬の念・・そこに呼応するロシア語の美しさ。
ふと、映画「ドストエフスキーと愛に生きる」で私が一番心に響いた場面・・・自然描写はロシア語での表現にかなわない・・というようなくだりを主人公のスヴェトラーナさんが語るシーンが頭をよぎり、なんだかウルウルと。
ロシア語は「いのちのあるもの」と「ないもの」を厳格にわけて考える言語ですけど、もしかしたら見えないイオランタの世界は「不活動体」で
見えているヴァデモンその他の人々の世界は「活動体」というように、台本自体が無意識のうちにそういう構成になっているのかも・・と感じました。
なので、父親からの抑圧?カンキン?!なーんて深読み云々・・ということよりも、もっと根源的な、ロシア人の自然賛美、生命賛美なんだわ〜〜〜と、じわじわ感じていたというわけです。
そもそも、設定は「プロヴァンスの王」とか「ブルゴーニュ公」とか「ブルターニュ地方の貴族」とか「ロレーヌ公国の令嬢」とか、おフランスで満ちあふれているのに、聞こえてくる音楽からイメージするのは、どう頑張ってもロシアの森でしょ(^_ー)ロシアンスピリット万歳!だわよ〜〜
ネトレプコはまあ、現在この役では他の追従を許さないでしょう。もう少し痩せたら?との声も飛び交ってますけど(^^;あの厚みゆえの声かな・・と思います。
イオランタという役自体、とらえどころがない不思議ちゃんみたいな雰囲気で、確かにもう少し声の細い可憐な感じの方が合いそうですが、彼女の表現力とあのぐらいの強い声で歌われると説得力が増します。役の筋が見える・・とでもいうか。
演技も、ちゃんと少女に見えますし(笑)
(意外にも?!おみ足は細いのね〜〜と青いドレスから覗く足首チェックしていた私^^;)
ベチャワの快活な青年っぷりもまだまだ健在。ユニクロ風の薄っぺらいダウンとスキー板も似合っていましたし(^^;
アリアでは、歌唱にちょいと「慣れ」が見え隠れしててムムム・・・と思ったんですが、イオランタとの二重唱の盛り上げ方など、さすがに巧い。彼は独りよがりで歌うタイプではなく、相手の歌を見て聴いて歌える人だな・・とつくづく思いました。
レネ王のイリヤ・バーニクは代役とのことですが、風貌的には寧ろ、抱き合わせの青髯公にピッタリだったかも。青白くてひょろっとしてて。この演出ではレネ王と青髯は表裏一体的な役どころと捉えることも可能なので、そういう意図としては合っているのかもしれませんが、
う〜〜〜ん、私はもっと王様は慈愛に満ちた感じのほうが、やっぱり収まりがいいと思うんですが。
歌詞をちゃんと追って聴くと。王様のエゴは娘かわいさのあまり・・と素直に思えませんか?けっこうお間抜けですし(笑)
エブン=ハキアにはたじたじだし、イオランタに見たい!と思える意思を芽生えさせようとしてヴォデモンをダシにして思いを遂げさせようとするところとか、最後には自分はもう年老いているから、これからはこの方がお前を守って下さる・・と、ちゃんとヴォデモンに娘を託すところとか。
ふつ〜〜〜に読んだら、素直に、ああほんっと、娘がかわいいんだな・・って思ってるパパじゃないですか!!!
だから最後の大円団で、王様だけが後ろ向いて最後にあんなこっわい顔して仁王立ちしなくてもいいと思うんですけど、ね。
出演:
アンナ・ネトレプコ(イオランタ)
ピョートル・ベチャワ(ヴォデモン伯爵)
アレクセイ・マルコフ(ロベルト)
イルヒン・アズィゾフ (エブン=ハキヤ)
イリヤ・バーニク(レネ王)
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【青ひげ公の城】
こちらは筋だけは知ってたけど、実は音楽として聴くのはまったく初めて。予習をがっちりしていないと落ち着かなくて結局楽しめないクチですが、今回は珍しく、ちゃんと楽しめました!劇の進行がスリリング故「次どうなるんだろ?」が音楽的にも巧く作用したかもしれません。
ユディットのナディア・ミカエルはメゾ時代の11年前に、ベルリン国立歌劇場でエボリを聴いて以来。エボリでも高音域がちょっときつそうなイメージの彼女が数年後にソプラノに転向したと知ってビックリでしたが、美しい容姿と肢体も相まって、この役にははまり役でしょう。ちょうど歌いやすい音域なのかも。中低音の響きにはゾクゾクさせられました。
ただ、彼女はインタビューで「ユディットは性を超越している」云々の主旨のことを言ってましたが、私はユディットはまさに女性性そのものの象徴のような気がします。
怖いけど、愛した男の全てを知りたい、過去の女も知りたい(知ったら嫉妬するくせにね〜〜^^;)その先はどうなる?!知ったら死が待っているような気がするけど、私なら彼を変えられるかも・・一緒に生きられる希望も・・という、憧れとでもいうか、そういう欲求もまた、生への渇望の裏返しかもしれません。
そんなにまでユディットに愛される青ひげ公のミハイル・ペトレンコですが、まー多数のアラフォーロシア人男性のご多分に漏れず、数年前の面影まったくナシですな^^;
(5年前のボリスでの、敏捷すぎる白髪老人ピーメンが懐かしい。。。)
インタビューの素の時なんて、一瞬演出家をペトレンコだと勘違いしてしまったくらいで、ナディアさんの隣にいるあなたは誰?!と思っちゃいましたわよ。。。
でも化けますね。去年のイーゴリ公での、爪楊枝しーしーガリツキー公(笑)はやんちゃキューピーそのものでしたけど^^;
今回はこれまた別の意味で「あなた誰?!」と思っちゃったくらい、かっこ良かったですよ。こういう役で聴くと、音色が明るいバスなんだなあと思います。
やっぱり、レネ王と青ひげ公が入れ替わっていた方が、(容貌も声的にも)私のイメージには合っていると思いましたです(笑)
出演:
ナディア・ミカエル(ユディット)、 ミハイル・ペトレンコ(青ひげ公)
(おまけその1:11年前のベルリン国立歌劇場でのルネ・パーペ@フィリッポ&ナディア・ミカエル@エボリ姫の美しき濡れ場・(キャ!)
(おまけその2:ほんの数年前のミハイル・ペトレンコ)
ネトコちゃん、やっとこっちの方角に来てくれましたか!と言う感じです^^
個人的には彼女にはリュドミラで惚れ込み、ロシアン・アルバムでのイオランタは初めて聴いたときからこれは絶対全曲を入れて欲しい!と思っていた演目。こうして映像も出、別音源も出てきて嬉しい限りです。
ベル・カント的な技術よりもしっとり表現する歌心がある人なので、こちらへの進路変更は期待が持てます!ルサルカやフェヴローニャも歌って欲しいし、NHKのナターシャも売り出して欲しい!(当時は興味がなかったorz)
Basilioさん:
え〜〜〜〜〜!バジリオさん、ネトちゃんのファンだったんですかっ(@.@;
(ちょっとビックリ・笑)
やっぱり餅は餅屋じゃないんですけど、ロシアもの歌うと説得力ありますよね。去年のタチアーナも、ルネ・フレミングにできなかったことが彼女は自然に(意識しないで)できちゃうのは、やっぱり血のなせる業かな…なんて思いましたし。
彼女がロシアものを手がけてくれるのは、作品を広く知らしめる為にも良いことだと思います。ゲルギエフと彼女のおかげで、随分Metでもロシアものの演目増えましたしね。いずれちゃんと商品化されると思いますが、楽しみです(^^)
さすが、ヴァラリンさん!「イオランタ」の深い洞察力には頭が下がります!
私、睡魔に襲われてましたから・・・^_^;
そう、アンナちゃん脚細いんですよぉ~。
顔と上半身が、かなりふっくらしちゃいましたけどね・・・。
レネ王は普通に「娘を溺愛してるお父さん」だと思ってました。
目が見えないことを悟らせないようにって・・・それ、すごいですよね。
愛情表現のやり方が、ちょっと間違っちゃったんでしょうね。
ユディットのミカエル、メゾからソプラノに転向した人なんですか!
この役はメゾですよね?中音域が魅力的だな~と思ってたんですが。
>私はユディットはまさに女性性そのものの象徴
私も同感です。
だいたいあのセクシードレスからして、演出家は思いっきり「女」を意識してますよね?
入浴シーンもあったし(笑)
>一瞬演出家をペトレンコだと勘違いしてしまった
きゃはは!いっしょ、いっしょ!
あのペトレンコ、すごく地味に見えて、絶対演出家だと信じてました!
うん、インタビューも青ひげの時も、「あれ?ペトレンコさんってこんな顔だっけ?」と、なかなか一致しませんでした(汗)
そっか、変わってしまったのか・・・。
娑羅さん:
いやいや〜〜私も「イオランタ」最初に聴いた時はする〜〜っと抜けちゃいましたもん。
レネ王はね、実はごヒイキさんの秘蔵音源がありまして(多分今年中にはCDも出るはず)それがデフォルトになってる(だめじゃん)ので、つい辛くなるんですわ^^;
彼で聴くと、とてもそんな意地悪で娘を監禁していたようには思えないんですわ。。。
ミカエルはベルリン国立歌劇場のエボリ姫では、フィリッポのパーペと美しい濡れ場(笑)を演じたんですよ。(写真追加しておきました)
そのイメージが強いので、こういう演劇的な役にはピッタリですね。
>入浴シーン
あれだけは解せなかったですねえ^^;(サービス?)
>きゃはは!いっしょ、いっしょ!
>あのペトレンコ、すごく地味に見えて、絶対演出家だと信じてました!
おおー!お仲間(笑)
だってさ〜〜ほんの数年前はこういう感じだったんだよう;;
(こちらも写真追加しておきました)
青ひげもごヒイキさんが準備中の役の一つなので、いつか見たいなあ(こわそ〜〜〜な雰囲気で!)
そ、そんなに意外ですかw今のソプラノではかなり好きな部類に入りますよ~
blogでも結構初期に扱っています笑
http://basilio1929.blog.fc2.com/blog-entry-20.html
とはいえメジャーになって以降彼女が選んできた伊的で派手なレパートリーには正直不満を持っていて。美声だけれども澄んだ空のような開放的なラテンの声ではないし、転がしも巧い訳ではない。ヴィオレッタやルチアは見た目や演技の良さでカヴァーしてきたけど、はっきりいって歌自体はそこまででもないなあと。で、それで以て「実力のない作られた名歌手」なんてレッテル貼ってしまってる人もいて、それはかなりもったいないなあと。
彼女の本領ってどっちかっていうと技巧ではなくて、ストレートな歌のうまさ、美しい旋律を魅力的に歌う力、或いは歌心そのものにあると思っていて、だからこそリュドミラやルサルカ、それにベル・カントでもジュリエッタ(ベッリーニの)あたりで真価を発揮する。そういう意味で彼女がタチヤーナ(聴けてないけどw)やイオランタにシフトしてきたのは、僕としては非常に喜ばしいです^^是非この路線で『マゼッパ』のマリヤとか『サトコ』のヴォルホヴァとか『ジャコバン党員』のユリエとか、或いはキュイのオペラの世界初録音とか是非やって欲しいです!笑
あと、伊ものならムゼッタを実はやって欲しい。今はミミしかやらないだろうけど、実際問題彼女のキャラ的にムゼッタの方が合うと思うんですよね。。。
>青髭公の城
スルーしてしまいましたがこれも面白い作品ですよね^^私としてはやっぱり青髭公を誰がやるかに気が行ってしまうのですが、ミヒャエルならかなり芝居としても魅力的なユディットをやって呉れたんだろうなあと思います^^
そんなに多くは聴いていませんが、初演で青髭公を演じたセーケイを主演に据えたドラティ盤が良かったです。
長々と失礼しました。。。
Basilioさん:
長いコメントは大歓迎なので(ツイッターでは長さが足りないのでw)どうぞどうぞ(^^)
ええ、意外でした(笑)で、ブログも読ませて頂いて尚びっくり!
真実をついていらっしゃるわ〜〜さすが!!
私はそもそもベルカントにあまり興味がないのでアレですが、彼女のヴィオレッタは技術的にもどうなの〜?と思ってました。仰るように音色の暗い声なので、やっぱりロシアものがはまりますよね。
でもトロヴァトーレのレオノーラでは、随分巧くなったな〜〜と思いましたし、タチアーナも近年まで歌っていなかったこと等鑑みると、
よく考えた上で、声と表現の成熟度に合わせて時期を選んでいるのかな・・と思います。
>青髯公
F=Dとヴァラディ夫妻のものなんかが有名でしょうかね。上にも書きましたが、実は聴いたのは初めて(!)だったので、これからですわ^^;
(ごヒイキさんも準備中なのよう❤)
ではお言葉に甘えて笑。
いえいえ素人の戯言で恐縮です㎜
レオノーラ良かったですか!それはちょっと納得いくかも。エリザベッタや運命の力のレオノーラなんかの方がむしろベル・カントより合うかもしれませんが、おっしゃる通り自分の声の成熟を彼女なりに考えているのかな、というのはこのところのレパートリーの変化で思いますね^^
存外、計算して役を選んでいそう。
>青髭公
あれは有名ですよね^^たしかにFDめっちゃ巧いんですが、やっぱりバルトークだから東欧の匂いが欲しいなあなんて笑。
Basilioさん:
ええ、明日のBSプレミアムで昨年のザルツのトロヴァ、放送しますから良かったら見て検証してみて下さい^^
青髯公、F=D夫妻のはそのうち聴いてみましょう。でも映像がないと辛いかも・・^^;
なるほど、レネ王を歌っておられるんですね。
確かにヴィノさんなら、娘を愛しすぎた行動・・・って思えるかも♪
ミカエルさんのエボリ、セクシーですね!
ひゃ~、とてもドン・カルロの一場面とは思えない!(汗)
ペトレンコさん・・・そうそう、このお顔ならわかります!
だって、ボリスに出てられましたよね!?
どうしても、あの青ひげと同じだと思えない・・・・(-_-;)
娑羅さん:
そーなの・・で、実は昨年の第九での来日のちょっと前に入手したんだけど、一度か二度軽く聞き流したあとはご存知の通り来日騒ぎでバッタバタしてたのと、2月のナンシーでのアレコ&フランチェスカ〜を優先して私も聴いてたので、すっかり後回しになってしまってたんです。
で、ライブビューイングを見たあとでまた引っ張りだして聴き始めたんですが、いいのよ(笑)クリップ作ってアップしようかお悩み中なの。
>ペトレンコ
そう!ボリスでは白髪老人のピーメンでした。あれから5年くらいしか経ってないんだけどねえ・・・