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フィリップ・ジョルダン著 100語でたのしむオペラ 

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100wordOpera原題はLes 100 mots de l’opéra,オペラの「裏側」を含めた100のお題についての記述。

1つのお題でだいたい1ページ〜1ページ半、長くても2ページを超えるものはないので、空き時間に気軽に読めるし、何しろ飽きが来ないのが良いです。

「たのしむ」のという題名から、いわゆるオペラの手引書、入門書というイメージを抱きがちですが、そうではないです。作品に関する解説(というか、著者自身の解釈)もないわけではないけど、それもあくまでも一つの「お題」として書かれています。

オペラの裏側ー裏方のお仕事や、もちろん著者自身の仕事である指揮者についても色々と。

オペラにはたくさんの人々が関わり、その人々のエネルギーが集まって一つの上演が生まれるわけで。そこにはもちろん、観客も大いなる力として加わっているんですよね。

同じような、オペラの「裏側」を扱った本としては昨年出版され、今年9月に文庫化もされる新国立劇場の合唱指揮者、三澤洋史氏の「オペラ座のお仕事」がありますが、
(氏のウェブサイトで読める日記からも察することができますが)
こちらの文体はウェットで、ご本人の熱は伝わってくるんですが、少し食傷してしまうような部分もあったりで・・

その点、こちらは翻訳文の為か冷静、分析的で理が先に来るタイプの文章なので、余計な感傷ナシでさくっと読めます。氏の指揮ぶりからもスマートさは伝わってくるんですが、うん、確かにそういう感じ。こういう講義、聴いてみたいわあ・・っていうか。

指揮者としてのジョルダン氏とは、実はちょっと相性が悪いんですが^^;
実演で数回当たっていて、そのうちの1回は2013年5月のパリでのショスタコ13番。もちろんバスソリストはアレクサンドル・ヴィノグラードフ。文章同様に現代的でスマートな13番だったなあ・・

そういえば氏は「ロシア語のレパートリーに慎重なのは、言葉の問題があるから」的なことを書いておられたけど、ん?じゃあ13番はどーだったん?!あれはオペラじゃなくて、歌付き交響曲だからいいのか・・とか、そこだけは突っ込みたくなりました(笑)

でもヴィノグラードフとはけっこう仲良しで、彼が「ジョルダンとの仕事は大きな喜びだよ」って言ってたことがありました。
同世代ですし(ジョルダン氏は74年生まれ、ヴィノグラードフは76年生まれ)
これからもまだまだ、共演の機会がありそうですから、次回はちょっと違う聴き方ができるかもしれません^^;

ともあれ、久々に「オペラに関する知の部分」を大いにくすぐられたオペラ本でした。

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