いつ完成するのー?(笑) |
現在改装工事中で、完成はいつになるのか全くメドの立っていない^^;ベルリン国立歌劇場に、私が初めて行ったのは2004年の7月。その時見たのが新演出だった【ドン・カルロ】でした。
シラー劇場のドンカルロ終了。10年前初めてベルリンに来た時に観たのがこのプロのプレミエ、怒号と喝采が入り乱れて本場の凄さを肌で感じた時。ミニマムの極みとも言えるシンプルな装置で登場人物の心理状態を伝える。10年経っても根っこは変わっていない。弦楽器の甘美な調べに何度も落涙。
— ヴァランシエンヌ (@v_valencienne) 2014, 5月 28
2幕終了間際の異端審問の場面。舞台前方に、手足をロープでくくられ、(足のロープは、天井から吊り下ろされています)全裸の男女が数人横たわり、
途中で、異教徒達はガムテープで口を塞がれ、フィリッポの手下の男性達からガソリン?(灯油缶に入った液体)をかけられ、最後には逆さ吊りになってしまう…というところ。
プレミエの時はちょうど、米兵がイラクに駐留しイラク軍捕虜に対する虐待問題が勃発した時期と重なっていた為、時流に乗ったアイディアだとも揶揄されたり、逆さ吊りになる人たちがかわいそう、とか、残酷過ぎる、等、色々物議を醸してました。その為、2幕終了後は怒号と喝采が入り乱れて大騒ぎ。途中で帰ってしまう人もいましたし。
しかし、あれから10年。さすがにベルリンのお客さんももう、これしきのことでは?!驚きもしませんし、怒号も飛びません。ただ、やはり初めてご覧になったらしき人たちからは、何となく戸惑いの拍手が聞かれましたけど。
とにかく、当時はものすごいセンセーショナルだったと思います。センセーショナルとい言う点では、前日のDOBのドン・ジョヴァンニだって凄いと思います。その時のトレンドとでも言うのかな・・
でもやっぱり、このぐらいの年数が経ってみて、更に真価が伝わることもあると思いました。こちらは10年経っても、陳腐化してないと思います。今の流行とは明らかに一線を画していると思いますが、今観ても古くささは感じられませんでしたし。まあ、私の思い入れが深い故かもしれませんが。
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歌手も当時からフィリッポを歌っていたパーペを含めて、何度かリンデン→シラーで聴いたことがある人をはじめ、ゲストシンガーのカルロが大当たり。
確かファビオ・サルトリだったはずだけど、それにしては普通の体型(失礼^^;)だな〜〜と不思議に思い、
幕間で名前を確認したら、今年新国でドンホセを歌ったガストン・リベロでした。あの時は可もなく不可もなくと言う感じでしたが、カルロには適役。カルロは脆弱ではあるけど、タイトルロールですから、存在感が欲しいですもん。
ルネ・パーペのフィリッポだけが、10年前のプレミエ時と同じキャスト。あの時の印象を転記してみましょうか。全文は→→→
フィリッポを歌ったパーペ氏。この劇場の看板バス歌手でもある彼ですが、彼は新しい、現代のフィリッポ像を作り上げたと思います。あくまでも冷酷に、冷たく、クールな感じで、そのくせ弱さも露呈する・・
演技の面では、カルロから首元にナイフを突きつけられた時の表情と、『独り寂しく眠ろう』の前の、後味の悪さの『歌ってない時の』表現が特に見事でした。 歴代のフィリッポ歌いに比べると、ちょっと音域が高いかな?と思うのですが、硬質の声と現代的な歌い回し+役作りがよく合っていて、聴き応え、見ごたえ充分でした。遠目で見ると、若き日のF=ディースカウ氏に何となく似てるような気が(^_^;)スーツもよくお似合いでした^^
ここ数年、彼の歌唱は以前よりも力が抜けた感があって(声のピークが過ぎているんじゃないか?とも耳にしますが)私は悪くないと思います。
でも、あの時はエボリとの濡れ場も、やりきれなさでいっぱい感アリアリだったのが、
今回は…枯れた男の哀愁が感じられました。そこに時の流れを感じた次第です。
ロドリーゴを歌ったアルフレード・ダザ(来年5月の新国「椿姫」に出演予定。新国のプロフには「ベルリン・ドイツ・オペラのアンサンブル・メンバー」と記載されてますが、シラー劇場(=ベルリン州立歌劇場)の間違いだと思います)も何度か聴いてますが、
なりふり構わない系の歌いっぷりが、意外とこの役にマッチしていて、特に辞世の歌のところではウルウルしてしまいました。新国では多分、彼の声は良く響いて聞こえるんじゃないかしら?
もう一人、意表をついた大当たりで、終始ウルウルさせられてしまったのが、エリザベッタを歌ったアンナ・サムイル。
彼女も何度も聴いているんですが、ほんとにあか抜けなくて、声だけは大きいんだけど歌が大味だし、映像で観たタチヤーナなんかはまだ良かったけども、
年末にTV放送されていたスカラ座の「かみたそ」でのグートルーネには辟易してしまい、今回もどうなんだろうーー;と殆ど期待してませんでしたが…
歌の未熟さが決してマイナスにはならない(と私は思っている)エリザベッタという役には良く合ってました。パーペとのコンビネーションも良かったですし、相対するカルロへの未練タラタラ感も巧く表現していたと思います。
エリザベッタの4幕冒頭のアリア「世のむなしさを知る神よ」で落涙したのは、初めてです。その場の雰囲気にも惑わされてしまったかもしれませんが。
逆にちょっと、ちょっと…と思ってしまったのが、エボリを歌ったマリーナ・プルデンスカヤ。超スレンダーで美人、黒いタイトスカートにハイヒールが良くお似合い・・・なのに、身のこなしが悪すぎます;;
この演出、テーブルが舞台になっているだけに?!食事のシーンが冒頭と2幕の異端審問のところで出てくるんですが、
エボリはちょうど、テーブルの短い部分に座っているので、客席からだと彼女の横からのお姿が見えるわけです。
その角度からだと食べるときの仕草が、あまりにも品がなく見えてしまい
(テーブルに顔を近づけて食べ物を迎えに行ってしまうのは、あり得ないと思うんですが、誰も指導する人がいなかったのかしら><)
一気に引きました・・・;;
しかもアンナ・サムイルがビックリするほどエレガントに変身していたので、尚更彼女の野卑な仕草が目についてしまいました・・・
いくら美人で歌もそこそこ歌えても、あの身のこなしでは魅力が半減しますよ。。。
もしかしたらここのオケは、この作品とはとりわけ相性がいいのかもしれません。
で、まあ、これに尽きるということです↓
久々にリンデンらしさを感じた。ちょっと大変な旅程だけど、ベルリンに来て本当に良かった。友達とも沢山話せたし、充実の1日。明日(今日)は移動日だけど、本当にちゃんとたどり着けるか不安(>_<)
— ヴァランシエンヌ (@v_valencienne) 2014, 5月 28
幕間のブレッツェル&アプフェルザフト。 シラーのブレッツェルはバター入りで激ウマ! |
2014年5月28日
ドン・カルロ@ベルリン・シラー劇場 1F6列目中央で鑑賞
MUSIKALISCHE LEITUNG Massimo Zanetti
INSZENIERUNG Philipp Himmelmann
BÜHNENBILD Johannes Leiacker
KOSTÜME Klaus Bruns
LICHT Davy Cunningham CHÖRE Martin Wright
PHILIPP II. René Pape
DON CARLO Gaston Rivero
MARQUIS VON POSA Alfredo Daza
DER GROSSINQUISITOR Rafal Siwek
EIN MÖNCH Jan Martiník
ELISABETH VON VALOIS Anna Samuil
PRINZESSIN EBOLI Marina Prudenskaya
TEBALDO Sónia Grané
STIMME VON OBEN Adriane Queiroz
GRAF LERMA | EIN HEROLD Stephen Chambers